前日からの噂どおり、ルディ・トムジャノビッチがヘッドコーチを辞任。昼からレイカーズの練習場でトムジャノビッチ辞任記者会見が行われたので行ってきた。辞任の理由は、ひと言でいうと健康面での不安。自分自身に与えたプレッシャーからストレスを感じ、しかも日常の中で気分転換をすることができず、安定薬を飲まなくてはいけない状態だったという。薬を軽いものから、きついものに変えなくてはいけないほどで、「そこまでしてこの仕事を続ける必要があるのか」と疑問を感じてしまったのだという。傍から見ていてもNBAのヘッドコーチはストレスの多い仕事だ。少しでも疑問を感じたらやっていけないとも思う。トムジャノビッチは、「これまで、もっとストレスの多いことも経験してきたのに、なぜ今、こういう感じ方をするのは、自分でもわからない」と何度も繰り返していたが、膀胱癌を克服した経験が彼の内面に何かしらの変化を与えたのかもしれない。

　後任ヘッドコーチは、取り合えずはアシスタントコーチのフランク・ハムレンが就任。「“暫定”という言い方はしない」（ミッチ・カップチャックGM）というが、実際は暫定ヘッドコーチ。これから長期的な後任ヘッドコーチ探しが始まる。そして、そこで名前があがっているのがフィル・ジャクソン。昨オフにいったん打ち切られた関係だけに意外に思えるかもしれないけれど、チーム、コービー・ブライアント、フィル・ジャクソンの反応を見聞きしていると、意外とありえる話のようでもある。その可能性について嬉々と語るLAのメディアやファンを見ていると、LAの人たちはフィルの復帰を望んでいる様子。しかも、フィルの恋人でもあるジーニー・バスによると、ルディ辞任の話が出る前にフィルは、今のレイカーズのメンバーのことをコーチしてみたくなるような面子だと言っていたらしい。現在隠居中のテックス・ウィンターも、「去年までのレイカーズよりはトライアングル・オフェンスにあったメンバー」とも言っている。さてさて、どうなるやら。LAでは、何か突拍子もないことがあると、"Only in Hollywood"（ハリウッドでしかありえない話）と言うのだけれど、これもまさに、"Only in Hollywood" である。

　記者会見中、内容とはまったく関係ないところで気になったことがひとつ。この写真、左と右を比べてみてもらえるとわかるけれど、記者会見が始まったとき（左）、テーブルにはダイエットコークと水のボトルが１本ずつ置かれていた。話し始めたルディは、ダイエットコークのほうを手に取り、一口飲んだ。と、そのすぐあとにレイカーズのスタッフがラベルをはがしたダイエットコークのボトルを持ってきて、ラベル付のものと交換した。アメリカ中、世界中に流れる映像の中に、コカコーラ製品を持ったルディの映像があっては困るというわけだ。あとから調べると、レイカーズはペプシコーラとプロモーションを展開中。記者会見のうしろの幕にレイカーズのロゴとあわせてキャノンのロゴが入っているように、NBAチームはいろんなところでスポンサー契約をしているのだが、そうなると、こうやって思わぬところでラベルを気にしなくてはいけなくなるというわけだ。実は、こういうことはNBAを取材しているとあちこちで遭遇する。テレビに映ったりすることの多いスター選手ともなると、スポンサー契約している会社のライバル社の飲み物を公の場で飲むことは厳禁。どうしても飲まなくてはいけないとき（たとえば、ベンチで用意されているスポーツドリンクなど）は、こうやってラベルをはがしたり、無地や透明のカップに移し変えて飲んだりしている。

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