今、アメリカ中のＮＢＡファンの間で一番注目されている（？） Hoops Gymのピックアップゲームを特別に見せてもらった。なんでも、レポーターでこのピックアップゲームを見るのは初めてらしい。まぁ、私が見せてもらえたのは、私なら英語での記事を書かないというのが一番の理由。
　きのう電話でティム（マイケル・ジョーダンなどのトレイナーで、このピックアップゲームを仕切っている）と話したときには、「明日はあまりいい選手が集まらないかもしれない。もしかしたら、すごくいい試合になる可能性も少しあるけれど、全然集まらないかもしれない」とのことだったので、控えレベルの選手たちのピックアップゲームかな、とあまり期待せずに行ったら、ところがどっこい。ティム・ハーダウェイ、マイケル・フィンリー、ジュワン・ハワード、アントワン・ウォーカーと、シカゴ・オールスターともいえる選手たちが勢ぞろい。そして、真打にマイケル・ジョーダン登場。豪華なラインナップだった。
　とはいえ、試合のほうは…まぁまぁかな。典型的なサマーリーグ・ゲーム。みんな、それぞれ適当に力をいれるところだけ力をいれて、あとは無理をせず、といった感じ。家に帰ってから、ルーキーやＦＡ中心のサマーリーグ＠ボストン（ウィザーズ対セルティックス。ジョーダンが出るかもと期待した人たちがだいぶ集まっていたらしい）をテレビで見たけれど、こっちのほうがよっぽど真剣で、試合としては面白い。まぁ、そりゃ、チームに入るか落ちるかぎりぎりの選手と、夏の序盤のベテラン選手のピックアップゲームを比べるのは無意味だ。

試合の経過を書いてもしかたないので、いくつか、トピックごとに。
Injury
　ブルズの去年のルーキー、ジャマール・クロフォード。外からのシュートはよく入るし、すごくいいプレーをしていて、これは来シーズンが楽しみだなと思っていたら、ドリブルでのボール運びのときにディフェンスのティム・ハーダウェイをかわそうと回転して、その拍子に膝を変な感じに捻ってしまった。床に倒れて、"Oh, sh**!"と叫ぶばかり。結局、ジュワン・ハワードらに抱えられながらトレイナールームに行き、そのあと病院へ。どんな診断がおりたかわからないけれど、ちょっと深刻そうだった。せめて夏の間に治るといいんだけれど。さすがに、このあとはみんなしんみりしてしまった。身体第一の選手にとって、ケガはほんとに怖い。見ていてつらかった。
Free Agent
　レポーターが入らないはずのピックアップゲームなので、インタビューの類はしなかったのだけれど、ピックアップゲームが始まる前にティム・ハーダウェイと話すチャンスがあったので、彼の契約についてだけ聞いてみた。
「明日（契約解禁日）、契約できそう？」
「明日は契約しないだろうな。たぶん来週だと思うよ」
「どのチームになりそうかはわかってるの？」
「うん、だいたいわかっているけれど、どこなのかは今は言えない」
Jordan on Ichiro
　先日、掲示板のほうで「何年か前にイチローがジョーダンと会っているけれど、ジョーダンはそのことを覚えているのでしょうか？」という質問があったので、ちょうどいいチャンスと、ジョーダンに聞いてみた。
「マリナーズのイチロー、前に会ったことがあるの覚えている？」
「覚えているヨ。ついこの前も、そのことをジョージ（ジョーダンのアシスタント）と話していたところだ。あのとき、確か彼からシューズをもらったんだ。確か、君が彼を連れてきたんだよね」
「違う、違う。私もあのときの試合の取材には行ってたけれど。いっしょにいたのはテレビ局の人じゃないかな。シューズは、イチローにあげたんじゃなくて、もらったの？」
「あげたんだったかな。僕のシューズをあげて、彼からももらったんだよ、確か。彼から小さいシューズをもらったはず。彼、なかなかやるじゃない。I like him」
　そのあとも、ジョーダンがストレッチしている横でイチローのことを別のスタッフと話していたら、わざわざ首をこっちに向けて「そうなんだ、イチローには数年前に会ってるんだ」と自慢気。
Jordan on Yao Ming
　ピックアップゲーム後。何の話をしていたときだったか、話題は、アーリーエントリーしなかったヤオ・ミンのことに。
「ヤツに言っておいてくれよ。彼のせいで予定が狂ったってね。１位で指名するつもりだったのに」
Korean Referees
　Hoops Gymでは、今週末に韓国リーグによる、アメリカ人選手トライアウトが行われる。リーグ役員、各チームコーチやスタッフのほか、審判も韓国から連れてきて、かなりおおがかりなトライアウトになるらしい。で、その審判たちが一歩先に到着していて、Hoops Gymでウォームアップ。NBA審判１人といっしょに、交代でこのピックアップゲームの審判をしていた。そんなこともあってか、夏のピックアップゲームとはいえ厳密。シュートがリムに当たらなかったのにショットクロックが戻ったといっては試合を止まるし、トラベリングも取るし。一度はフィンリーが文句言っていたけれど、言われた審判は英語が話せなかったのか、手を広げただけで、フィンリーも諦め顔。しかし、あの審判たちにとっては末代まで語る自慢話だろうな。なにしろ、ジョーダンが出ている試合を判定したわけだから。
Come back
　ジョーダンの復帰の可能性について、５月頃だったか、掲示板で五分五分くらいではないかと書いた覚えがあるけれど、きょうのピックアップゲームを見て（１ヶ月休んだために、まだ少し身体のキレがなかったけれど、これはすぐに戻るはず）、ジョーダンと話して、どうやら９割復帰しそうだと感じた。ちなみに、復帰する場合のチームについて、これまでジョーダンはどこのチームとはっきり口にしたことはなかったが、どうやら最近の行動や発言からするとウィザーズ以外はありえない雰囲気。念のためにきょう聞いたら、案の定「復帰するならウィザーズ」だそうだ。


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　きょうもまた、Hoops Gymへ。といっても、ジョーダンはシカゴ郊外のケンパーレイク・ゴルフ場でシニアツアーのプロアマ大会に出場していてお休みだし、マイケル・フィンリーら一部ＦＡ選手たちは、契約解禁でそれぞれのチームのところに戻ってしまったようで、ほとんど選手が集まらず。ＦＡだけど、解禁日には契約しないティム・ハーダウェイと、ＦＡではないアントワン・ウォーカー、意外とまじめに毎日来ているのね、のトーマス・ハミルトン（でもウェイトトレーニングの類はしている様子なし）などはいたけれど、とてもピックアップゲームができる人数にはならず、ゲームは中止。
　でも、せっかく行ったのに、それで帰ってはもったいない（？）ということで、ハーダウェイやウォーカーのウェイトトレーニングを見せてもらった。しかし、まだ７月半ば。トレーニングキャンプ開始まで３ヶ月近くあるというのに、彼らはこんな時期にも汗ながしてトレーニングしているんだなぁ。
　このジムは、ティム・グローバーの新しい試みで、とにかく最新のトレーニング機器を入れている。ゲーム感覚でトレーニングできる大きなスクリーン（コンピューター）や、回数をセットしておくと、ウェイトの残り回数を音声でカウントしてくれる機械があったりかと思うと、深夜の、テレビショッピングで売っているような腹筋トレーニングのための道具があったり、見ていてもけっこう面白い。

　ところで、ジョーダンはゴルフ場でメディアのインタビューに答えたようだ。そのコメント（「あと１ヶ月半、時間をくれ。９月半ばには復帰かどうか言えると思う」）がAP電で流れ、日本にも速報として流れたようなので、新聞などで読んだ人も多いかも。
　注目度があがればあがるほど、ちょっとしたコメントに過剰反応されてしまうこともあるので、きのう書いたことに少し補足。念のため強調しておくと、復帰の可能性９割というのは、あくまでも私が感じたことで、ジョーダンが言ったわけではない。なんでそう感じたかというと、プレーを見た結果というよりは、話したときのジョーダンの口ぶりが一番の理由。もちろんそれだけでなく、あばら骨を折る前に復帰宣言をしそうなくらいの状態になっていたという情報（これは、きのうジョーダンにも確認した）など、ほかの情報も加味してのことなんだけど、それでもあくまで私の判断にすぎないので、その点ご了承を。
　プレーのほうは、きのうも書いたけれど、まだ身体が重そうだった。ただ、これは１ヶ月身体を動かしていなかったのだから当然のこと。ゲーム自体も、まだNBAレベルには遠く（これはジョーダンだけでなく、ほかのNBA選手も）、これだけではとても判断できない。ただ、そんな状態でも、最後にはやっぱりジョーダンは別格な選手だと感じるプレーが随所に見られたのも確か。大半がジャンプシュートで、ディフェンスしていたのは15cmの身長差があるハーダウェイなんだけれど、それを差し引いてもジョーダンはジョーダンだった。
　ついでに、「９月半ば」というタイムリミットについて。なんでこの日が出てくるかというと、実はジョーダン、これから８月半ばまではバスケットボールのキャンプなどで少し忙しい。そういった用事がすべて終わった８月半ばから本格的なトレーニングをはじめる予定、と言っていた。その頃になると、ピックアップゲームに参加する選手のレベルもさらに上がるとか。95年夏の“ジョーダン・ドーム”再び、というわけだ。


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